【ICT支援員 / 派遣事例】子どもたちにICTという武器を。地域一丸となった取り組みで、高水準のICT活用を実現|長野県上伊那郡中川村

株式会社ストリートスマート(以下「弊社」)では、2020年11月から長野県上伊那郡中川村の小中学校 全3校へ定期的にICT支援員を派遣し、ICT教育全般のサポートを続けています。

本記事では、1年8ヶ月の支援の中で、中川村様の小中学校のICT活用がどのように進んだのか、2022年7月の訪問支援の内容も紹介しながら、レポートでお届けいたします。

 

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子どもたちの未来のため、可能性を最大限に引き出す学習環境を目指しICT教育に取り組む長野県上伊那郡中川村

 

南アルプスと中央アルプス、2つの雄大なアルプスに抱かれるように位置する、長野県南部 伊那谷のほぼ中央にある中川村。人口4,732名(2022年7月1日現在)の、自然豊かな村ですが、ICT教育に対する並々ならぬ熱い想いを持っています。

 

「校務を軽減したいという気持ちもありますが、ここまで取り組む一番の理由は、子どもたちの未来にとってICTは絶対に必要なものだから。」

「小さな村なので、将来は村を出ていく子どもが多い。その子たちに、できる限りの可能性を持たせてあげたい。今、私たち教員にできることは、ICTという武器を持たせてあげることだと思っています。」

 

そうお話される先生方は、中川村で育つ子どもたちの未来のため、より良い学習環境を提供したいという気持ちを原動力に、日々ICT活用に取り組んでいらっしゃいます。

 

地方の学校がICT教育の最先端に。学校間の連携でICT教育を大きく推進

以前は、ICTの活用が進む学校は都心部に多く、様々な理由から小規模または地方の自治体でICT活用が進むような環境は稀でした。それがGIGAスクール構想により、全国の公立学校に1人1台端末の環境が整えられたことで、中川村のように地方自治体が積極的にICT教育を推進し、今では都心部の学校が参考にするような活用事例となっています。

 

中川村では、小学校2校と中学校1校の3校が連携してICTスキルの向上に取り組んでいます。学校のICT活用は、その時々に在籍している先生のスキルにより変動することが多く、全国でも学校間のスキル格差が課題となっています。実際、弊社がICT支援を始めた当初は、2つの小学校の活用度に少なからず差が出ていました。

小学校2校のICTスキルを揃え、中学校でのICT活用をうまく機能させるため、その課題を意識しながら1年間支援させていただいたところ、7月の訪問では学校間の差が狭まり、さらに小学校2校の児童が共にスキルアップしている様子を見ることができました。

 

2つの小学校は取り組みとして、積極的なタイピング練習を継続しています。

同じクラスの中で児童のタイピングスピードに大きな差があると、タイピングが早い児童は授業の途中で待ち時間が発生してしまい、集中力が切れてしまうことがあります。先生方はICT教育におけるタイピングの重要性を認識され、子どもたちのタイピングスキルのレベルアップを図っています。

子どもたちはタイピングに対し、「仕事をしている大人になれたみたいでかっこいい!」という憧れを感じており、雨の日には休み時間に自主練習をする児童の姿も多く見られました。

Chromebook™ を活用した情報共有がより活発に。ICT活用 への慣れが先生方にとって大きな自信に

ICTの活用度合いには、先生間での活用頻度やスキルに個人差があることが1年前の全体的な課題でした。それが今では、どの先生もGIGAスクール構想で貸与された Chromebook を活用し、日々使われている教材などを含めた情報共有も盛んに行われるようになりました。

活用を継続することで、ICTに苦手意識を持っていた先生方も、「使いこなせている」という自信をお持ちになり、より積極的な姿勢でICTに向き合えるという好循環が生まれていました。

 

中川西小学校では、ICTを活用した独自の授業も積極的に行っています。

半年前の訪問時には、6年生の音楽の授業では、Chrome Music Lab という音やリズムを楽しめるツールを使い、児童が2小節のメロディーを作曲しました。

 

▲各自の端末で作曲に取り組む様子

 

さらに、作曲したメロディーをツール内で共有することで、連弾やセッションを行い、Chromebook を使った今までにない取り組みを楽しんでいます。

 

▲作曲したメロディーを共有してセッションへ

 

中川中学校でも、家庭科で、卵焼きの作り方の手順をプログラミングに表して授業をするなど、様々な部分でICTは子どもたちのアイデアや閃きを具現化するツールの一つであり、「日々の生活で使えるものなんだ」と気づけるような授業づくり・環境づくりに前向きに取り組まれています。

ICT支援員が終日滞在し、学年に合わせた支援を実施

◆中川西小学校

7月の訪問では、1年生が Google Jamboard™ を使って、アサガオの観察日記を書くことに挑戦しました。アサガオを撮影した写真を Jamboard に貼り付け、付箋には日付や天気を、余白には手書きで気付いたことを記入し、オリジナルの観察日記を完成させていました。

 

▲Jamboard でアサガオを撮影し(左)、写真データを使って観察日記を作成(右)

 

2年生は道徳の授業で Jamboard を使い、クラスメイトと意見交換をしたり共同で意見を出し合ったりしました。

授業中、ずっと Jamboard を使うわけではなく、意見を出し合う時にはデジタルを活用し、話し合いや発表の時にはデジタルを使わずにじっくり対話をするなど、ICTの使い分けに優れた授業でした。

児童は Jamboard の扱いに慣れており、操作も非常にスムーズで、Jamboard を大人顔負けに使いこなしていました。

 

▲話し合いは対面で行い(左)、意見を出すときは Jamboard を活用(右)

 

3年生は、Google フォームを使って工場についてどんなことを勉強していきたいのか、自分の意見を出したりクラスメイトの意見を聞いたりして目標を決めました。Google スプレッドシート™ に書き出したフォームの答えをテキストマイニングで表現し、みんなの意見を視覚化するという、これまでは時間がかかっていた内容を、10分程度で実施していました。児童全員がタイピング力に優れ、難易度の高い授業がスムーズに進行しました。

 

▲Google スプレッドシートを活用して授業が進められている様子

◆中川東小学校

中川東小学校では、1年生が Google 検索™ に挑戦しました。

まずは児童が Jamboard を使った手書き入力で、付箋に「あ、い、う、え、お」を書く練習をした後、自分の名前を書き、最後に「なかがわむら」を Google 検索。表示された中川村に関連する画像を見て、調べる楽しさとその可能性を体感しました。

 

▲Jamboard を使って付箋にひらがなを書く練習をする様子

 

2年生には Google スライド™ の活用、3・4年生には Google フォームの実践的な使い方、5年生はメディアリテラシーの必要性や危険性を自分たちで考えながら Google 検索を駆使して意見をまとめ、6年生にはGIGAスクール時代を生きる子どもたちにとって非常に重要な情報モラル・デジタルシティズンシップについてお話しました。

 

▲ Chromebook を活用して情報を検索する様子

 

子どもたちは、「Chromebook を触るのも、Chromebook を使う授業も楽しい!」とワクワクしながら授業を受けており、自分が興味のあることを調べ、知ることができる知的欲求を満たす楽しさを体感していました。

例えば「わたしはイチゴが好き! イチゴってなんでおいしいんだろう? どんな成分で出来ているのかな? 中川村でも作っているのかな?」など、子どもたちが疑問に思ったことをすぐに調べたり、はじめて見る種類のイチゴを Chromebook で撮影し画像検索で調べる様子なども見られました。

子どもたちにとって Chromebook は「何でもできるとても便利なもの」。情報を調べたり画像からそのものを特定したりと気になることを自由に調べることで、様々な事象に対する興味・関心を持ち、「もっと知りたい」という探求心を深めている様子が伺えました。

◆中川中学校

中川中学校では、先生方の個別相談をメインに実施しました。音楽の授業でICTをどう活用できるか、他校の実践例をご紹介して提案したり、保健室が実施する「ヘルシーチェック」のデジタル化についてサポートさせていただいたり、多岐にわたりご相談をいただきました。

◆中川村教育委員会

中川村教育委員会は、Google サイト™ で Google Apps Script(GAS)を組み込んだホームページを制作しており、更新は中川中学校の管理職の先生方が担っています。

学校のホームページを Google サイトで制作しているのは全国でもまだまだ珍しく、ICT教育に対する村一丸となった姿勢を感じます。

 

▲ Google サイトで作成された中川中学校のホームページ

ICT支援員の効果(アンケート一部抜粋)

支援後のアンケートでは、
その道のプロから教わることで自分たちも安心して学ぶことができる
多くの利用例を紹介してもらえるので使い方の幅が広がった」
など、ありがたいお言葉をいただきました。

 

「ICT支援を依頼する価値」に対する回答は、全ての方に『大いにある』『ある』とご回答いただきました。

▲全ての先生にICT支援の価値を実感していただきました

 

「Chromebook 導入による変化」に対する回答は、約96%の方に『良くなったことがある』と回答いただきました。具体的には、「児童の学習意欲が高まり、興味を持つ事柄が増えた」「意見の共有・資料の共有がしやすくなった」「授業の準備が楽になった」「個々のペースで自ら学ぼうとするようになった。Chromebook で課題に取り組みながら、わからない単語をすぐに Chromebook で調べ発音まで確認しており、学びの意識が途切れなくなった」といったお声をいただきました。

▲多くの先生に1人1台端末の導入による良い変化を感じていただきました

 

また、訪問時にお話させていただいた先生方からは
「ICT授業の教材は、一度作れば何回でも使える。その部分は非常に負担が減った。誤って消してしまったデータが保存されていることも非常に利点
子どもの性格により、発言できる子とそうじゃない子がいる。1枚のポスターを床に置いたとき、立ち位置によって正面から見れる子も入れば逆さまからしか見れない子もいる。できるだけ平等・公平にと気をつけていても教室は平等に見えて平等じゃない。
手を挙げる子、話せる子が目立つけど、そうじゃない子もしっかり考えて自分の意見を持っている。一人一台端末によるデジタルの力によってそういう子たちも平等に意見を出せるようになったことは学校として革命的なこと
個別最適と協働学習の両立ができるようになったことはデジタルによる恩恵
といった、お声をいただきました。

学校に並走することで効果的な支援が可能に。今後は個人のスキルに依存しない仕組みづくりへ

中川村様へは、定期的に弊社のICT支援員が訪問し、その時々に必要なところをフォローすることにより、支援員が一方的に施策を決めるのではなく、学校・先生・児童に並走しながらICT活用の推進をしています。

 

学校では、校内のICT教育をリードする先生の存在が重要ですが、先生には異動がつきものなので、1人のリーダーや得意な先生だけに頼りすぎている状態では、学校全体のICT推進は不安定な状態になります。

今後は継続した支援により、学年ごとのICT活用指標を明確化し、その指標に合わせて授業を進めることで、先生個人のスキルに依存しない仕組みづくりを、中川村様と一緒に取り組んで参ります。

 

Chromebook、Google ドライブ、Google Jamboard 、Google スプレッドシート、Google 検索、Google スライドおよび Google サイトは、Google LLC の商標です。

 

 

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