【ICT教育事例/町田市教育委員会 学校教育部 教育センター所長 林氏インタビュー】1人1台端末環境を目指す町田市の取り組みや、休校期間中の対応をお話いただきました

全国の中でも、早くからICT環境の整備に着手し、先進的な取り組みを行っている東京都町田市。今回は、町田市教育委員会 学校教育部 教育センター所長である林 啓氏にお話をお伺いし、これまでの取り組み、今後の課題、さらに感染症による休校期間中の対応などをお話いただきました。

 

東京都町田市教育委員会 学校教育部
教育センター 所長
林 啓 氏

 

町田市のICT教育について

ー ICT教育に関するこれまでの取り組みを教えてください。

町田市教育委員会では、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」に基づき「町田市5ヵ年計画17-21」を策定しており、2017年度からICT環境整備に着手しています。

具体的には、町田市内の小中学校62校に Chromebook を各校40台ずつ整備し、同時に教員へ Chromebook を1人1台ずつ配布しています。また、「教員が子どもに向き合う時間の増加」「校務の標準化」を目的とし、成績処理や文書管理などの機能を持つ校務支援システムの導入、各普通教室への大型提示装置の配置なども行っています。

また、ICTが教育へもたらす効果を検証するため、小学校2校と中学校1校を「ICT教育推進モデル校」として設定し、効果的な活用方法や教育への効果を検証しています。

 

新型コロナウイルスによる休校時の対応

ー 新型コロナウイルス感染症による休校期間中は、先生方はどのように校務を継続されていたのでしょうか。

町田市は校務支援システムを導入している他、ICT活用におけるセキュリティの安全性を高めるため、特別なシンクライアント環境の構築を行っています。そのため、教員は休校期間中も学校へ行くことなく自宅から安全かつ円滑に校務を行うことができ、ほとんどの校務をテレワークで実施することができました。

G Suite for Education のアプリの1つ、ビデオ会議システム「Google Meet」を活用し、自宅からオンラインで職員会議に参加したり、教員同士での情報交換を実施している先生も多く見られました。また、Meet と同時に「Google ドキュメント」や「Google スプレッドシート」を活用し、協働で作業をしたりコメントを残しながら会議と同時進行で議事録を作成するといった使い方も見られました。

 

(Google Meet イメージ)

 

休校中の学習方法について

ー 休校期間中、児童生徒の学習に関しては、どのように継続されていたのでしょうか?

ICT教育推進モデル校の一部では、休校中も平時と変わらずにICTを用いた学習を行っていました。生徒は、家庭にある端末 または 学校から持ち帰ったChromebook を用いて、自宅から「Google Classroom」にアクセスし、クラスごとのコミュニケーションを図っていました。朝は全員が Meet にアクセスし、児童生徒と先生がオンラインでつながり、互いの顔を見ながら当日の学習内容や学校からの連絡事項を伝え、その後は出した課題に取り組むといった活用をしていました。課題を進める中で分からないことがあれば、いつでも先生に質問できるよう「Google フォーム」を設けていたと聞いています。

 

(町田市が指定するICT教育推進モデル校のうちの1校 外観)

 

町田市のICT教育推進モデル校の実情

ー ICT教育推進モデル校では活用がかなり進んでいますよね。私も見学させていただいたのですが、児童生徒が Meet の使い方を熟知しており、「自分が発言しないタイミングでは自発的にマイクをオフにする」など、オンラインでの授業をスムーズに進行できるよう協力し合っている姿が印象的でした。

児童生徒のICT習得スピードには本当に驚きます。大人よりはるかに順応性が高く、どんどん吸収していくため、その部分に関しては想定よりスムーズに活用が進んでいると感じます。

新型コロナウイルス感染症に関する対応や、ICTツールの活用にはまだ多くの課題がありますが、休校によりICT活用の必要性を迫られたことでツールを使い始めた先生も多く、「こんなに便利なんだ!」という声を聞くようになりました。6月から登校を再開しているので、便利だと認知したICTをどう教育へ活用していくかが今後のポイントだと考えています。

 

今後の展開について

ー 今後はICT教育推進モデル校の事例を、他の62校に展開していくのでしょうか?

はい、ICT教育推進モデル校で実践された先進的な事例や効果的な取り組みを、町田市内で広く発信し展開していきたいと考えています。そのために情報を一箇所に蓄積し、他校の先生でも見られるよう公開しています。休校期間を含めICTの活用度が高まったため、ここ最近は閲覧数が伸び、先生からのリアクションも増えました。

 

具体的な計画や課題

ー その他、今後はどのような計画を考えていますか。

2017年度にICT環境の整備をスタートした時から見据えていた「1人1台環境」を実現させていきます。端末や環境の整備はもちろんですが、「先生方のスキルアップ」と「家庭学習での環境整備」の2点が特に重要であると考えています。休校期間中に自宅でICT端末を用いた学習を進めた結果、生徒によって端末の有無やネット環境が異なることが明らかになりました。各家庭でインフラが異なる中、どのように対応していくかというのは大きな課題のひとつです。

 

ICT支援員の必要性

ー 色々と聞かせていただき、ありがとうございます。弊社ストリートスマートは、2020年1月よりICT教育推進モデル校3校で、また4月からは62校に拡充しICT総合支援員としてサポート*をさせていただいておりますが、なぜそれが必要であると判断されたのでしょうか。

*参考)町田市の小中学校3校に学校常駐型のICT総合支援員を派遣しました
https://master-education.jp/column/ict_support_staff_dispatch/

 

教員の中には、Chromebook 以外の製品を使い慣れている方も多く、Chromebook を活用することで何が便利なのかというところから伝える必要がありました。以前、Google 社を通じてストリートスマート様に研修を実施いただいたことがあったので、ICT総合支援員としても力を貸していただきたいと考えました。

 

(ストリートスマート ICT総合支援員 説明資料より)

 

ICT支援員派遣導入による現場の変化

ー ICT総合支援員が常駐することで、先生方に変化はありましたか。

2020年1月から3月にかけて、ICT教育推進モデル校3校に常駐いただいていましたが、その学校の先生方は Chromebook の活用方法を段々と理解し、学習や校務への活用が進んできたと感じています。

 

ー 非常に嬉しいです。研修やICT総合支援員の取り組みを通して、ストリートスマートへの評価はいかがでしょうか?

仕事柄これまで多くのIT研修を受講し、また教える立場を担当することも多かったのですが、ストリートスマート様の研修は、私がこれまで見てきたものと異なり、フランクかつフレンドリーな雰囲気で進行されるのが非常に印象的でした。その雰囲気作りのおかげで、先生方がリラックスした状態で研修を受講しており、結果、学びが進んでいると感じています。

また、機能や操作の基礎を教えてくださるのはもちろんですが、研修中に「これを使うと何ができるか」「授業がどう変わるか」といった理想像やイメージを提示してくださるので、それにより教員の学ぶ意欲が非常に高まっていると感じます。正しいことを一方通行で言うよりも、好奇心を掻き立てる方が効果があると思いますが、ストリートスマート様はそれを得意とされている印象であり、成果が出ていると思います。

 

(ストリートスマート講師による研修の様子)

 

ー 実際にモチベーションが上がっている先生も多いのでしょうか。

ストリートスマート様の研修を受けた後、非常に触発されて Google 社の認定教育者資格の取得に励んだ先生もいます。Chromebook や G Suite for Education を活用した教育をもっと研究していきたいという風に考え方が変わった先生がたくさんいるようです。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で突如休校が決まった時も、私たちから依頼する前に「このような施策をしてみてはどうでしょうか」とストリートスマート様の方からご提案くださり、サポートいただけたのも非常に助かりました。自宅からでも G Suite for Education の操作方法を確認できるマニュアル動画「Master Learning」や、オンラインでの研修、各校への電話対応など、学校に行けない中でも「今この環境でできること」を先に考え、具現化してくださいました。そういう意味で、私たちが提示した仕様の内容を超えたところで、提案や行動を行ってくださったことは非常にありがたかったと感じます。今後も是非、町田市をご支援いただきたいと考えています。

 

ICT教育推進やGIGAスクール構想に関するご相談はストリートスマートへ

株式会社ストリートスマートは、2017年にGoogle 認定の Google for Education Professional Development Partner(専門的能力開発パートナー企業:「PDパートナー」)に認定されました。そして、これまでの教育機関への総合的なICT導入支援実績が認められ、2020年に国内で初めて Transformation (変革)分野のエキスパートとして Google より認定されました。

自治体や教育現場の皆さまが効率的かつ負担なくGIGAスクール構想やICT教育を推進できるよう、学校常駐型のICT総合支援員各種研修など、ICTの導入から活用推進まで、さまざまなアプローチで皆さまに寄り添った支援を行っております。

お困りごとやお力になれることがございましたら、お気軽に弊社『Education事業部お問い合わせ窓口』へお問い合わせください。

 

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<MASTER EDUCATION>
https://master-education.jp/

 

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