【わかりやすく解説】GIGAスクール構想の先にある未来。「教育データ利活用」の促進で見える教育現場の姿とは?

2019年12月に始まった『GIGAスクール構想』。児童生徒の「1人1台端末」及び「高速大容量の通信環境」の下での新しい学びが本格的に進められています。こうしたICT環境の構築は単に学校のデジタル化を推し進めるだけでなく、「教育現場から大量のデータを取得できること」も意味します。今回の記事では、学校をはじめとする教育関連の現場から提供されるデータの規格化や活用方法について取りまとめた「教育データの利活用」について解説します。その上で、政府が掲げる教育のデジタル化構想の達成に向けて、株式会社ストリートスマートがどのような取り組みをしているかもご紹介いたします。

国が目指すデジタル化社会とは

2021年9月、日本において「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を推進することを目的にデジタル庁が設立されました。「新型コロナワクチン接種証明書アプリの提供」や「キャッシュレス法の成立」など、時勢に応じてデジタルサービスの開発やデジタル社会基盤の整備を進めてきました。

デジタルの活用で一人ひとりの幸せを実現するために「デジタル社会の実現に向けた重点計画」紹介資料 P6)

同庁は2023年に「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を発表。「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」という目指すべきビジョンを提示しました。デジタル技術の進展により、一⼈ひとりの状況に応じたきめ細かいサービスを低コストで提供できるようになることで、多様な環境に身を置く国民それぞれが本当に価値のあるデジタル体験を受けられる社会像を描いています。

教育のデジタル化が目指す姿

教育領域のデジタル化に着目してみましょう。デジタル庁は2022年1月、総務省や文部科学省などと共同で「教育データ利活用ロードマップ」を公開。「教育のデジタル化」の表した「GIGAスクール構想」における取り組みです。同取り組みでは、児童生徒に対する1人1台端末の配布と、教育現場における高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備。ICTを中心とした先端技術を活用することで、多様な子供たちに対して個別最適化された公正な教育を提供できるようになります。
「教育データ利活用ロードマップ」によれば、「学習履歴」や「校務情報」など、ICT環境を整備したことで得られる多様なデータを活用することが、「教育のデジタル化」のミッション達成のために必須だとしています。教育データの利活用に向けて、民間事業者含むあらゆる教育現場で取得可能な教育データの流通や蓄積をするための全体設計(アーキテクチャ)も提示されています。

教育データ利活用ロードマップ P6)

「データ利活用」ロードマップの全貌

「教育データ利活用ロードマップ」は、2022年から2030年までの期間を「短期」「中期」「長期」の3つのフェーズに区切り、教育データを活用することで目指す教育現場の姿を示しています。

教育データ利活用ロードマップ P4)

「短期(2022年頃まで)」の目標は、端末やインターネット環境を整備したうえで、授業や管理業務などあらゆる「校務」をオンライン化し、教育従事者の負担を軽減すること。その過程で、配付されたデジタル端末などを日常的に活用することも目指します。実際、1人1台端末環境の整備は概ね完了しているとの報告もあります。

「中期(2025年頃まで)」の目標は、「学習履歴」や「教材情報」といった教育の内容や活動情報に関するデータの標準化を推し進めること。学校や自治体、民間の教育施設が連携できる基盤を作り、学習者が日常的に端末を使うようになれば、学習関連データが取得できるようになります。そうしたデータを格納する際の規格の標準化を徹底することで、「誰が、どのような学習経験を得て、何ができるようになったか」について各教育機関が把握できるようになります。結果、学習者それぞれにあった学習支援が可能になるというわけです。

「長期(2030年頃まで)」のスパンでは、社会人を含むあらゆる学習者が生涯に渡って「PDS(Personal Data Store)」に教育関連データを蓄積し、効果的に活用することで、真に「個別最適な学び」や「協働的な学び」を実現するとしています。これは「中期目標」よりも深い粒度で、教育関連データの標準化をすることで、「学習者が現在どのような状態であり、どのような教材を、どのような方法で学習すべきか」について学習者自身はもちろん、教育関係者が判断できる社会のことを指しています。その結果として達成できるのが、教育のデジタル化のミッションである「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会」というわけです。

データ利活用がもたらす教育現場の変化

では教育データの利活用が進んだ場合、現場レベルではどのような変化が現れるのでしょうか。

例えば、従来の教育では黒板とチョークを用いた「一斉型」の授業が主流です。教育内容を児童生徒の進捗に合わせてカスタマイズしたり、個人の理解度をリアルタイムで把握したりすることは困難でした。

また塾や社会教育施設における教材や生徒の情報についても、事業者ごとにデータ形式にバラツキが発生しています。結果、他の事業者や学校が扱えないデータとなってしまっており、十分に活用できているとはいえない状況にあります。

教育データの利活用が進むと、「学習時間」や「テストの正誤判定」に基づいて、学習者個人あるいは先生が「どの教材」で「どのように学ぶべきか」を判断し、選択することが容易になります。デジタル教材を活用することで、学校の先生は教材の準備や板書の時間が削減できます。結果、生徒が学習状況に応じた最適な教材を選び、着実に理解することを支援する「伴走者の役割」に集中することができます。

塾や社会教育施設で得られる教育データの標準化や学習指導要領コードとの紐付けを進めることで、学校における公教育との連携も実現可能となります。分断されていた塾と学校における教育体験が繋がることで、学習者は「真に個別最適な学び」を実現できるのです。

データ利活用に必要な教育関連データの「標準化」

データの標準化は、教育機関同士におけるデータの相互流通性を高めることが目的です。では標準化の対象となる「教育データ」は具体的にどのような情報を指すのでしょうか。ロードマップでは、教育データを「主体情報」「活動情報」「内容情報」の3つに区分しています。

教育データ利活用ロードマップ P19)

「主体情報」とは、児童生徒や教職員、学校のそれぞれの属性等の基本情報を指します。児童生徒であれば、生年月日や性別、在籍校、学年などが挙げられます。学校の場合は、児童生徒数や学級数、教職員の数などが対象です。

「活動情報」は更に「生活活動」「学習活動」「指導活動」などに区分され、児童生徒や教職員が教育現場で「何を行ったのか、それによりどのような成果を残したか」に関する情報が対象となっています。

「内容情報」は学習指導要領コードを含む学習分野の分類情報や、教科書・教材の詳細な内容を指します。教育活動によって「どの分野の、何を具体的に学んだのか」について把握するために必要なデータのことです。

3つの区分からなる教育データを一定の粒度で標準化をして管理をすることで、「誰が、どこで、どのような活動を通して、何を学んだ状態なのか」を生徒自身や各種教育機関がスムーズに把握したり連携したりできるようになります。

「標準化」の進捗

現状は、標準化が比較的容易な「主体情報」を中心に規格の統一が進んでいる状況です。例えば、学校や教育委員会については「学校コード」「教育委員会コード」が整備され、児童生徒や教職員についても「文部科学省教育データ標準3.0(主体情報)」という基本情報を標準化するため規格が公表されております。

「内容情報」に関しては、すでに公開されている「学習指導要領コード」を「文部科学省教育データ標準(内容)」の第1版として据え置き、今後アップデートを重ねていく方針が示されています。「活動情報」に関しても、「文部科学省教育データ標準3.0(活動情報)」が公表されており、活動情報のなかでも握力や50m走といった「体力情報」の標準化は現段階でも実現している状況です。内容情報・活動情報ともに、今後はより多様なデータを統一規格で格納できるような整備が進んでいく方針です。

教育データ利活用ロードマップ P22)

初等中等教育向けのデジタル学習のプラットフォームである「学習eポータル」についても、「学習eポータル標準モデルver3.00」が公開されています。同モデルで開発されたシステムの間であれば、アクセスログや正答率といったデータを相互共有でき、より効率的に教育現場を運用できるようになります。
例えば、「学習eポータル」は全国共通の規格とルールに基づいて整備されているため、児童生徒が転校や進学した際も、「これまでの学び」の情報にアクセスできます。過去の学習履歴を振り返りながら次に学習すべき内容を検討できるため、切れ目のない学習体験が実現可能になります。

教育データの利活用に関するストリートスマートの取り組み

国が進める「教育データ利活用」や「データの標準化」について説明しましたが、これらは10年単位で企画されている国策プロジェクトです。

この壮大な教育DX構想を着実に前進させるために、Google は「Google for Education™ 教育DX パッケージ」の提供を開始。「Google Workspace for Education」の設定や各種ツールを最大限活用して教育DXを実現するために、研修プログラムと導入サポートを併せて提供しています。

「Google for Education 教育DXパッケージ」では、Google と同社より認定されたパートナーが協働で教育機関様をサポートします。認定パートナーの1社でもある、ストリートスマートが具体的にどのように支援をしているのかご紹介いたします。

ストリートスマートの「教育DXパッケージ」は、「①技術支援」「②活用促進」「③データ活用」の3つの柱で成り立っています。導入直後の環境構築からデータ活用まで一気通貫で支援する体制を整えています。

 

「技術支援」では、すでに Google Workspace を導入されている教育機関においても、既存環境および外部システム連携の状況調査を行ったうえで、「Google Workspace for Ed​​ucation Plus」の各種設定含む最適な環境構築をサポートします。導入後は、管理者向けに提案した環境の説明会を実施。管理設定などに関するヘルプデスクも利用可能なので、管理・運用面でも安心です。

 

Education Plus を導入後、教育現場における「活用促進」をするために、現場の先生方向けには「授業・校務の研修トレーニング」を提供します。新たなICT環境をフル活用して、デジタル授業の品質向上や校務の効率化をするための内容をハンズオンを含む実践的な形式で講習を行います。また、「教員向けサイト」「生徒向けサイト」「学校WEBサイト」といった学校運営に役立つ3つのポータルサイトを、各教育機関向けにカスタマイズして納品します。校務や教育活動に必要な情報の一元化や情報の外部発信の促進にご活用いただけます。

 

当社の「データ活用」支援の特徴は、「データの可視化に留まらず、教育現場の変革までしっかりと伴走する」ことです。Education Plus を導入してから一定期間を経た後に、各学校・学年ごとに新環境の活用状況を可視化したレーダーチャート(Master Report)を提出します。具体的には、ログイン率やスライド利用数といった計6項目の数値をレーダーチャート上に表示。内容を分析したうえで、活用促進方法や環境の設定の見直しを提案します。

リアルタイムに学習状況や活用状況などを把握をして分析に役立てられる「Looker Studio」を用いたテンプレートもご用意しています。より充実した教育関連データを分析することで、真のゴールである教育のDXの実現まで伴走します。

 

学校や自治体ごとの現場の課題やシステム環境の状況を踏まえて、「リアルな教育データの利活用」や「教育のDX」実現に向けたサポートをしています。お気軽にご相談ください!

 

※ Google for Education は Google LLC の商標です。

 

ICT教育推進やGIGAスクール構想に関するご相談はストリートスマートへ

株式会社ストリートスマートは、教育分野と働き方の変革分野のスペシャライゼーション認定を持つ Google for Education Specialization パートナーです。

自治体や教育現場の皆さまが効率的かつ負担なくGIGAスクール構想やICT教育を推進できるよう、状況やご要望に合わせた最適な支援をご提供するGIGAスクール運営支援センターICT支援員各種研修、先生のための総合プラットフォーム「master study」など、ICTの導入から活用推進まで、さまざまなアプローチで皆さまに寄り添った支援を行っております。

お困りごとやお力になれることがございましたら、お気軽に弊社『Education事業部お問い合わせ窓口』へお問い合わせください。

〈Education事業部 お問い合わせ窓口〉

メールアドレス:info-edu@street-smart.co.jp
お問い合わせフォーム:https://master-education.jp/contact/

 

最新情報は弊社サイトMASTER EDUCATIONからご覧ください。

<MASTER EDUCATION>
https://master-education.jp/

 

※社内利用以外の二次利用は禁止されたコンテンツです。
※本資料に記載されている弊社の商号(株式会社ストリートスマート)以外の商号は
第三者の商号です。また、本資料に記載されているシステム名及びサービス名等、
並びにシステムのアイコン及びユーザーインターフェースのスクリーンショット等に
関する商標権及び著作権等の一切の権利は第三者に帰属しているため、原則として、
当該第三者の許諾なく利用することはできません。

 

 

Chromebook や Google Workspace for Education に
関するご相談はお気軽に

お問い合わせ

この記事を読んだ方にオススメの記事