【公的支援制度3選】先生向けのICT研修やネットワーク診断など幅広く支援。2024年度に国が実施するGIGA第2期の支援制度をご紹介。
GIGAスクール構想により、全国の小中学校で1人1台の端末が普及し、ICT環境が整いつつあります。本記事では、効果的なICT活用のさらなる促進のために政府が提供する3つの公的支援制度の内容と手続きの流れを詳しく紹介します。
GIGAスクール構想第2期で目指す姿
■ 1人1台端末とネットワーク整備によるICT環境の整備
GIGAスクール構想は、2019年12月に文部科学省から発表され、全国の小中学校に1人1台の端末と高速通信ネットワークを整備することを目指しています。この取り組みにより、令和5年度までには子どもたちの98.6%が週1回以上のICT活用授業を受けるようになりました。
端末の整備により、子どもたちが個別に最適化された学習を受けられる環境が整いました。子どもたち一人一人の学習の進度や理解度に応じて、教材や指導方法を柔軟に変更することができるようになり、「誰一人取り残さない教育」が実現可能となったわけです。さらに、クラウド上のツールを活用することで、協働的な学びが促進されています。
■ 多様な子どもたちに対して個別最適化された学習環境の提供
GIGAスクール構想の導入により、特別支援教育の現場でもICTの利活用が進んでいます。例えば、言葉での指示を理解することに困難さがある児童に対して、タブレット端末を利用して視覚的にスケジュール管理やコミュニケーションを支援するアプリが導入されています。また、聞くことに困難さがある児童には字幕付きの教材が提供されるなど、個々の事情やニーズに応じた教育が提供できる基盤が整いつつあります。
■ より主体的・対話的で深い学びに繋がる授業の実現
ICTを活用した授業は、より対話的で深い学びへと変革を遂げています。例えば、社会科の授業では、インターネットを活用してリアルタイムのデータを収集し、それを基にディスカッションを行うことで、子どもたちが自ら問題を発見し、解決策を考える力を育成します。ICTを導入することで情報へのアクセスが容易になり、子どもたちが自ら主体的に考え、さらにグループワークや他者参照を通じて自分の考えを深める機会も増えています。
行政によるICT教育促進に向けた制度の紹介
「GIGAスクール構想」に着手してから、ICT環境を活用した様々な成果が教育現場で生まれつつあります。ここからは、整備された端末やネットワーク環境を、さらに有効的に活用するための公的な支援制度を複数ご紹介していきます。外部の専門家のサポートを受けることで、ICTインフラの管理体制の強化や学校DXの促進に繋がることが期待されますので、チェックしてみてください。
支援制度①:学校DX戦略アドバイザー事業
概要と目的:
学校DX戦略アドバイザー事業は、GIGAスクール構想の一環として、1人1台端末の効果的な活用や学校のデジタル化を促進するために設立されました。全国の自治体や教育委員会からの相談に応じ、専門的な知見を持つアドバイザーが助言や支援を提供することで、現場ごとに抱える個別の課題や悩みを解消する事を目的としています。
支援内容と流れ:
この事業の支援内容としては、専門知識を有したアドバイザーを派遣するのみならず、相談内容に合わせたオンライン研修の企画・実施やICT人材の確保支援等も含まれます。具体的な支援内容は以下の通りです。
- 相談対応およびアドバイザー派遣:自治体や教育委員会からの個別の相談に対応し、端末の利活用促進や学校DXに関する全般的な助言を提供。
- オンライン研修会の実施:課題解決に向けた具体的な取り組み事例や工夫を紹介するオンライン研修会を年間複数回実施。各回のテーマ、講師、申込方法などはWebページで案内されています。
- ICT人材の確保支援:ICT支援員などの学校DXを推進する人材の獲得に向けて、自治体に対して人材の紹介・派遣を行う事業者の情報を提供。
学校DX戦略アドバイザー事業は、文部科学省 初等中等教育局 学校デジタル化プロジェクトチームが担当しています。相談窓口は令和6年4月15日に開設され、電話やメールでの相談受付が行われています。また、ポータルサイトも開設されており、近日公開予定のオンラインセミナーの概要や課題別に対応したアドバイザーの検索など、幅広く情報提供していますので是非一度チェックしてみてください。
支援制度②:端末整備に係る補助金
概要と目的:
2023年時点において、小中学校における1人1台端末の普及率はほぼ100%を達成している一方で、「故障端末の増加」や「予備機の不足」といった課題が発生しつつあります。こうした状況下において、国は「子どもたちの学びを止めない」観点から、予備機の整備や端末の更新費用を補助する制度を用意しています。
支援内容と流れ:
各自治体は要件を満たすことで、都道府県に造成された基金から補助を受けることができます。端末更新のための補助基準額は1台あたり5.5万円で、予備機(児童生徒数の15%)やOSメーカーが提供するソフトウェアの上位エディションについても補助の対象内です。
具体的な申請の流れとしては、調達等ガイドラインを熟読の上で補助金申請書や各種計画書などを作成する必要があります。注意点としては、端末を特別な用途に使用する場合や大規模な人口を有する市町村である場合など、特別なケースを除いて「原則共同調達」をすることが求められており、都道府県が設置する「共同調達会議」に参加した上での申請が義務付けられています。これにより、申請業務の効率化や調達コストの削減が可能となります。
支援制度③:ネットワークアセスメント実施促進事業
概要と目的:
1人1台端末の利活用を推進していくうえで、大きな障害となりうるのが「ネットワークの遅延や不具合」です。文部科学省は今後、データの利活用を推進するうえでクラウドベースのデジタル教科書やシステム基盤の導入を促す動きを見せています。これは、データ通信量の更なる増加を意味しており、ネットワークに問題を抱える教育機関にとっては致命的です。そこで文部科学省は、全国の自治体のネットワーク環境の状況診断(アセスメント)を補助する制度を立ち上げ、最適なネットワーク環境を整備することを支援しています。
支援内容と流れ:
ネットワークアセスメントの例としては、通信量やセッション数を測定する「ネットワーク測定」や、ネットワーク構成や機器の設定を調査する「ネットワーク構成調査」などが挙げられます。
都道府県や市町村が民間事業者に委託するネットワークアセスメント実施に要する費用の一部を国が補助します。補助率は2分の1で、交付される補助金の上限は1校当たり20万円となっています。また、アセスメントの実施にあたって、ネットワークの専門家を含む「ICT活用教育アドバイザー」に相談する場合、その旅費や謝金も全額国費で負担されます。
まとめ
GIGAスクール構想の導入により、日本の教育現場は大きく変革しています。全国の小中学校における一人一台の端末と高速通信ネットワークの整備は、子供たちが個別に最適化された学習を受けられる環境を提供し、より主体的で協働的な学びを実現しつつあります。今回紹介した公的な支援制度は、より安定的なICT環境の整備やより踏み込んだ学校DXを実現するにあたって強力にサポートしてくれることでしょう。
特に、GIGAスクール運営支援センター整備事業や学校DX戦略アドバイザー事業などの支援制度は、端末やネットワークといった「ICT環境」のみならず先生や子どもなど「人」に焦点を当てたサポート内容となっています。これらの支援制度を必要に応じて積極的に活用し、専門家のアドバイスを受けながら適切に学校DXを推進していきましょう。
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