“これならできる!” が市内に広がる。町田市3校の「校務DX」軌跡と成果
株式会社ストリートスマートは、2025年6月に出版された書籍『忙しすぎる先生のための 校務×クラウド』を起点に、町田市立成瀬台小学校、小山小学校、成瀬台中学校の3校に対し、ICT支援員が伴走する「校務DX実証プロジェクト」を実施しました。
▼書籍『忙しすぎる先生のための 校務×クラウド』の詳細はこちら
https://master-education.jp/koumu_cloud/
本記事では、各校で実践された事例と、実際に取り組まれた先生方の生の声をお届けします。
1.町田市立成瀬台小学校様
事例①:授業観察・自己申告面談の日程調整
授業観察や面談の日程調整は、管理職が先生一人ひとりの時間割と自分の予定を突き合わせ、パズルのように組み上げる大変な作業でした。
そこで、Google スプレッドシート™ で予約表を作成。シート上で空き時間が一目で分かり、先生方が自ら予約できる仕組みを構築したことで、調整のための手間と時間を大幅に削減しました。
【ポイント】
- 空き枠の自動表示:管理職が「マスタシート」で面談不可日を設定すると、予約表の該当日時のセルが自動で赤く塗りつぶされます。先生方は空いている白枠から、自分の名前と「授業観察 or 面談」をプルダウンで選ぶだけで予約が完了します。

- 予約完了の自動判定:「授業観察」と「面談」両方の予約が埋まると、「マスタシート」に自動で⚪︎を表示。予約状況の進捗も一目で確認できます。

※ 画像内の氏名やデータは、全てサンプルです。
事例②:職員会議資料のデータ一覧化
校務環境のファイルサーバーに保存されていた職員会議の資料。必要な情報を探すだけで一苦労で、若手や異動してきたばかりの先生にとっては、どこに何があるか分からないことが大きなストレスでした。これを解消するため、全ての資料への「玄関口」となる一覧シートを Google スプレッドシートで作成し、スムーズな情報へのアクセスを実現しました。
【ポイント】
- リンクの集約: 校務環境で作成したデータを、会議ごとにフォルダ名をつけて Google ドライブ™ に保存。シートにフォルダ名を入力するだけで、各資料へのリンクがリスト形式で表示されます。

※ 画像内の氏名やデータは、全てサンプルです。
- 情報のアクセス性向上: シートを開いてクリックするだけで、資料へ即座にアクセスが可能。過去の会議資料も1枚のシートに集約されるため「探す時間」がゼロになり、さらに次年度の会議計画の参考にもなります。
◾️ 先生の声
成瀬台小学校副校長 榊原 麻紀 先生、成瀬台小学校主任教諭 師尾 勇生 先生にインタビューをさせていただきました。
Q.校務でのICT活用(クラウド活用)を進める上で、どのような課題感や難しさを感じていましたか?
榊原副校長先生:
一番の課題は、教員間でのICTスキルの差でした。単に研修を行うだけではなかなか全員ができるようにはなりませんし、自分にとって明確なメリットがないと「やってみよう」という気持ちになりにくいものです。学校全体で一律に活用を進めていくことの難しさを痛感していました。
師尾先生:
私も、周囲を巻き込んで広めていくことには難しさを感じていました。そもそもICTを使って「何が、どのようにできるのか」を具体的に想像すること自体が、現場の先生方にとっては高い壁です。自分一人で使う分には問題なくても、操作方法や構造を他の人に分かりやすく説明するのは、本当に大変なことだと感じていました。
Q.ICT支援員のサポートはどのように役立ちましたか?
榊原副校長先生:
私たちの「こうしたい」という抽象的な希望が、目に見える形になっていくのは本当に嬉しい体験でした。現場の困りごとを丁寧に聞き取って、それを解決するための最適な形をオーダーメイドで構築してくれたことに感謝しています。こちらの要望を伝えれば伝えるほど、より使いやすく、私たちが本当に欲しかったものが手元に届く感覚でした。
完成した日程調整のシートは、私たちが最低条件として考えていた点をクリアしているだけでなく、プラスアルファの機能が追加されているなど、こちらの予想を遥かに超える使い心地でした。
師尾先生:
まさに「伴走」という言葉がぴったりで、細かなやり取りを重ねながら成瀬台小学校のスタイルに合わせて柔軟にカスタマイズしていただきました 。書籍の事例をたたき台にできたのも、イメージが湧きやすくて助かりましたね 。
Q.先生方の「働き方」や「心のゆとり」に、ポジティブな変化はありましたか?
榊原副校長先生:
授業観察・面談の日程調整について、以前は教員から日程の希望があっても、私の予定が合わないと断らざるを得ないことがあり、それが心理的にとても申し訳なかったんです。でも予定表を導入してからは、お互いの状況がひと目で分かるようになり、無理のない調整が自然にできるようになりました。お互いにとってWin-Winの仕組みができたと感じています。
師尾先生:
職員会議の資料が一覧化されたことで、会議当日に不在であっても後からすぐに内容を把握できるようになり、大きな安心感が生まれました。特定の日にしか勤務しない教員もどこからでも情報にアクセスできますし、何より以前のように深いフォルダ階層から資料を探すストレスから解放されたのは大きいですね。また、過去の資料も参照しやすいため、来年度新しく赴任してくる先生が年間の見通しを立てる際にも、大きな助けになるはずです。
2. 町田市立小山小学校様
事例①:授業時数確認のダッシュボード
授業実施時数の集計や達成率の確認は、これまで教務主任が校務システムからデータを確認し、手作業で膨大な転記を行ってきました。また、先生方は、自分のクラスの進捗や他クラスとの差分をリアルタイムに把握できない課題がありました。
Google スプレッドシートで集計を自動化・グラフ化したことで、教務主任の集計業務が大きく省力化され、先生方が自ら時数を確認し、授業計画を調整する自律的な動きが生まれました。
【ポイント】
- データの流し込み:校務システムから出力したデータをコピーし、そのまま Google スプレッドシートに貼り付けるだけで、ダッシュボードが更新されます。
- 一目で状況を把握:データを貼り付けた瞬間にグラフが更新され、プルダウンで学年を切り替えると、各学年の進捗率を視覚的に把握できます。

※ 画像内の氏名やデータは、全てサンプルです。
事例②:校務事務分担表・教育計画の進捗管理
校務分掌の業務や教育計画の作成について、「誰が、いつ、何をしているか」「資料作成がどこまで進んでいるか」が見えづらいことで、期限間近になると管理職や教務主任が全員に対して一律で催促の声をかけるのが恒例となっていました。そこで、校務分掌をガントチャートで可視化し、資料作成の進捗を共有シートで管理。進捗が見えるようになったことで、管理職は遅れている場所にピンポイントでフォローができ、学校全体で自身や同僚の進捗状況を把握できるようになりました。
【ポイント】
- ガントチャート化:プルダウンで時期を選択することで、ガントチャートの該当期間のセルが自動で着色。1年間の校務分掌の動きをタイムラインで表示し、全体の動きを視覚的に把握できるようにしました。

- ステータスの色分け:資料作成の状況を「作成中」「完了」のプルダウンで表示。未完了の項目が色付きで表示されるため、一目で進捗を判別できます。

※ 画像内の氏名やデータは、全てサンプルです。
◾️ 先生の声
小山小学校教務主任 田中 秀和 先生にインタビューをさせていただきました。
Q.校務でのICT活用を進める上で、心理的・技術的なハードルはありましたか?
心理的な面では、やはり「慣れ親しんだアナログ」から抜け出すことへの抵抗がありましたね。以前は校務分担表も紙やPDFだったので、何かを調べるたびにファイルを探すのが当たり前になっていて、デジタル化への一歩がなかなか踏み出せませんでした。
技術的には、授業時数の管理が本当に大きな壁でした。システムからデータを出力し、Excelへ手入力で転記して再集計するという、気の遠くなるようなアナログ作業を続けていたんです。入力漏れや転記ミスを完全に防げないことが大きな課題でした。
Q.ICT支援員のサポートや、実際の仕組みづくりはいかがでしたか?
「授業時数をリアルタイムで見たい」という相談に対し、システムデータをグラフ化する「ダッシュボード」という解決策を提示してくれました。自分たちだけでは時間がかかる専門的な設定を、一手に引き受けてくれたのが心強かったです。
特にこだわったのが「誰でも使える簡単さ」でした。データをコピーして貼り付けるだけで自動更新される仕組みにしてくれたおかげで、ITが苦手な教員でも負担を感じずに運用できています。
運用の途中でエラーが出た際も、Google Chat™ や Google Meet™ を使って相談し、その場で解決できる「伴走」があったからこそ、多忙な中でも途中で諦めずに最後まで形にすることができました。
Q.事例に取り組んだことで、校内に変化はありましたか?
一番の変化は、先生方が「言われて動く」のではなく「自ら確認する」姿に変わったことです。ダッシュボードで進捗が可視化されたことで、若手教員からも「今やるべきことが明確になり、迷わず取り組める」と前向きな声が上がっています。
また、情報の透明性が高まったことで、「進捗がわからない不安」が解消されたことも大きな変化です。管理職からの画一的な督促や、無駄な確認作業もなくなりました。
会議でも共通のデータを見ながら話せるため、報告時間が大幅に減り、心理的なゆとりが生まれています。空いた時間を教材研究や児童との対話に充てられるなど、教員本来の仕事に注力できる環境が整いつつあります。
3. 町田市立成瀬台中学校様
事例①:保護者入校証の二次元コード化
体育祭や合唱コンクール等の大きな学校行事や保護者会、学校公開で行う保護者の出席確認。毎回全クラス分の名簿を印刷し、1人ずつ鉛筆で丸をつけてもらう作業を行うため、受付には長蛇の列ができていました。
そこで、この受付対応をデジタル化。年度当初に各家庭へ二次元コード付きのカードを生徒人数分作成・配布し、保護者は来校時に二次元コードリーダーにカードをかざすだけで受付が完了するスマートな運用を実現しました。
【ポイント】
- 二次元コードの一括作成:一覧シートに生徒管理番号を貼り付けるだけで、各生徒固有の二次元コードを生成。カード作成シートにも自動で反映されます。

※ 画像内の氏名やデータは、全てサンプルです。
- データの管理:受付時は、二次元コードリーダーにカードをかざすだけ。読み取り用のシートへ、自動的に生徒の学級・名前が表示されます。紙の受付名簿とは違い、場所を取らずにデータを安全に保管しておくことができるのも大きなメリットです。
事例②:生成AI(Gemini™ )による生徒会選挙原稿の添削
生徒会選挙の原稿添削は、各担任の先生が個別に行っていましたが、先生によって指導の粒度(細かさ)や返却スピードに差が出てしまうことが課題でした。これを生成AI(Gemini)との協働ワークフローに変更。先生はAIが提示した案をチェックして生徒へ戻すことで、添削時間を大幅に短縮しながら、生徒への手厚いアドバイスを両立させました。
【ポイント】
- AIとの協働:生徒が Google ドキュメント で書いた原稿を Gemini で一次添削し、構成や表現の改善案を提示します。
- 質の平準化:AIの案をベースに先生が最終確認し返却。一貫した指導基準を担保しながら、返却までのスピードを高めました。
事例③:安全点検表のクラウド化
校内の安全点検は場所ごとに紙で行われ、集計や修繕が必要な箇所のリストアップに多大な手間がかかっていました。これをスプレッドシートでのチェック方式に変更。点検したその瞬間に「全校の修繕リスト」が自動生成される仕組みを実現しました。
【ポイント】
- 確認箇所の自動抽出:点検項目ごとに「○異常なし、△異常あり(軽度)、×異常あり(修理・交換)」をプルダウンで選択。点検結果が即時に一覧表に集約され、点検完了箇所と要確認箇所が一目で分かります。

※ 画像内の氏名やデータは、全てサンプルです。
- 要修繕箇所の一覧化:要修繕箇所の詳細は備考欄に記入。場所・点検項目・入力月とともに1つのシートに一覧化され、用務員さんへの連携もスムーズに。修繕の対応状況も簡単に更新・共有できます。
事例④:自己申告面談の日程調整
小学校同様、管理職が先生一人ひとりの時間割や自分の予定を見比べながら全教員分の日程を設定しており、日程調整に多くの時間と労力がかかっていました。成瀬台中学校様でも Google スプレッドシートで予定表を作成し、先生方が自らプルダウンを選んで予約ができるようにすることで、効率的かつ柔軟な日程調整の仕組みが実現しました。
【ポイント】
- 空き枠の明確化:管理職が対応不可の日時は、あらかじめセルをグレーアウト。先生は都合のよい時間に予約を入れるだけで、日程調整が完了します。
- プルダウンの簡易設定:名前を選ぶプルダウンは、一覧表で設定。既存の職員名簿からコピー&ペーストするだけで、簡単にプルダウンを設定できます。また、名前に変更や修正があった場合も、リストを編集するだけで自動的にプルダウンへ反映されます。
◾️ 先生の声
成瀬台中学校副校長 小出 浩貴 先生にインタビューをさせていただきました。
Q.プロジェクトに取り組む前、どのような校務の課題を感じていましたか?
中学校では、先生方が授業や休み時間の生徒対応などで教室にいる時間が長く、なかなか職員室に戻ることができません。その結果、どうしても情報が共有されるまでに時間がかかってしまうというような状況が生まれていました。こうした「情報のタイムラグ」を解消し、少しでも先生方の負担を軽くしたいという思いがありました。
Q.具体的な実践事例の中で、特に手応えを感じたものは何ですか?
まず「保護者入校証の二次元コード化」は非常に目に見える成果がありました。これまでは受付で紙の名簿に丸を付けていただいており、保護者会などではどうしても行列ができてしまっていました。それが二次元コード受付に変わったことで、当日の受付時間の大幅な短縮で対応がスムーズになったのはもちろん、来校者数の把握や名簿への落とし込みといった事後処理も劇的に簡略化されました。
また、授業観察や面談の日程調整も、以前は管理職が一人ひとりの時間割と自分の予定を突き合わせて設定していました。これでは手間がかかるだけでなく、先生方も「自分が決めた」という意識が薄いため、日時を失念してしまうこともありました。クラウド上で先生方が自ら都合の良い時間を選べる仕組みにしたことで、管理職の作業時間は短縮され、先生方の主体的なスケジュール管理にもつながりました。
安全点検についても、以前は場所ごとに紙のシートが点在し、それらを集計して一覧化する作業が本当に大変でした。これがクラウド化されたことで、破損箇所が自動でリスト化され、修繕の進捗を一目で管理できるようになったのは大きな改善です。
Q.先生方の「働き方」や「心のゆとり」に、ポジティブな変化はありましたか?
一つひとつの改善は小さく見えるかもしれませんが、こうした「小さな効率化」が積み重なることで先生方の負担は軽減されていくと感じています。
何より、情報の透明性が高まり、校務がスムーズに回るようになったことで生まれる精神的なゆとりは、学校全体の機動力や、生徒と向き合う姿勢にもポジティブな影響を与えてくれるはずです。
今回の挑戦について、実際に取り組む中で見えてきた課題や改善点もありますが、一つずつクリアしながらより良い環境づくりに努めていきたいです。
各学校での取り組みを、町田市全体へ
2026年2月6日、町田市教育委員会様主催の「ICT推進担当者会」が開催され、町田市の全小中学校からICT担当や管理職の先生方が参加されました。今回校務DXに取り組んでくださった3校の先生方が各校での取り組み内容や成果を発表され、会の終了後には、参加された先生方から早速「うちの学校でも取り組みたい」との声が。
多忙な日々の中で、新しいことに挑戦するのは勇気がいるものです。しかし、同じ市内の学校が実際に試行錯誤して生まれた「生きた事例」を共有し合うことで、「自分の学校でも、これなら取り組めそうだ」という具体的な手応えを共有することができます。3校の挑戦が、市全体の共通の財産となりました。
校務DXによって生み出された時間は、教材研究の深化や、子どもたち一人ひとりと向き合う対話の時間へと還元されていきます。
また、校務DXは時短のためだけの手段ではなく、先生方同士の情報の連携やコミュニケーションをより円滑にし、より協働して働きやすい環境を創ることにもつながります。
株式会社ストリートスマートは、これからも現場に寄り添うパートナーとして、先生が先生らしく輝ける学校現場の実現をサポートし続けてまいります。
※ Google スプレッドシート、Google ドライブ、Google Chat、Google Meet、Gemini は、Google LLC の商標です。
ICT教育推進や校務DXに関するご相談はストリートスマートへ
株式会社ストリートスマートは、教育分野と働き方の変革分野の2つのスペシャライゼーション認定を持つ Google Cloud パートナー企業です。
自治体や教育現場の皆さまが効率的かつ負担なくICT教育を推進できるよう、学びのDXから先生方の働き方改革につながる校務DXまで、ご状況・ご要望に合わせた最適な支援をご提案いたします。ICT支援員、各種研修、先生のための総合プラットフォーム「master study」など、ICTの導入から活用推進まで、さまざまなアプローチで皆さまに寄り添った支援を行っております。
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