【ICT教育事例】自治体全体での資格取得で「教師が育つ利島」へ|東京都 利島村様

株式会社ストリートスマート(以下、ストリートスマート)では、2020年度から東京都利島村様へICT支援員の派遣を行っています。
2023年度、自治体をあげて先生方の「Google 認定教育者資格」取得に取り組んだ利島村様。本記事では、利島村様のICT活用を通じた「島ならではの強みを生かす」教育への思いや、先生方の資格取得に向けたストーリーについて、インタビュー形式でご紹介します。

利島村について

東京から南に約140kmに位置する、人口320名(令和4年7月1日現在)の島。
利島小学校・利島中学校は令和6年4月から「義務教育学校」へ移行し、利島の学校の良さである「9年間を見通した小中一貫教育」を更に推進していく。

Google 認定教育者資格とは?

授業や校務において、Google for Education™ を活用するスキルがあることを証明できる先生のための資格です。認定資格には[レベル1][レベル2]があり、合格すると Google から証明書および認定バッジが付与され、公的な場(名刺やメールの署名欄、履歴書 等)で使用することができます。

「島ならではの強みを活かす」ICT活用の推進

利島村教育委員会教育長 弟子丸 知樹 様 へ、ICT支援員の石田より、今回の取り組みについての背景や思いをインタビューさせていただきました。

「教師が育つ利島」を目指して

石田:今回、自治体として Google 教育者認定資格の取得に挑戦した背景を教えてください。

弟子丸教育長:
利島村は、子どもたちも先生も少人数だからこそICT活用が進めやすい一方で、極小規模校のため、活動内容によっては正直紙の方が楽なこともあります。そのため、一般的に小規模自治体では、先生がICTを活用しないままになってしまう状況が生まれやすいです。さらに「自治体内に小中学校が1校ずつ」の場合は、比較対象が少ないため、ICT活用を急き立てられるような機会も少ない構造です。

一方、教育DXを実現して小離島の強みと組み合わせることで、教育の質は劇的に変わりますので、ICT活用は必須です。そこで、先生方の「自分もやらなければ」という気持ちを引き出し、村の教育大綱にも示す「教師が育つ利島」を実現するために、教育委員会として利島村の先生方全員に向けた資格取得のための機会を用意しました。自治体全体での資格取得は、大きな自治体では予算の面から難しい場合もあると思いますが、小さい島だからこその強みを活かした取組だと思っています。

利島を超えて、日本全体の教育を見据える

石田:今回の資格取得にあたって、どのような枠組みで実施したのでしょうか?

弟子丸教育長:
文部科学省の「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」の採択を受けており、事業委託費の一部で今回の取組を実施しています。これからの時代を見据え、子ども主体の学びへと学習観や授業観を転換させていかなければならない中、まずは「学びの相似形」として、先生たち自身が主体的に学んでいくための新しい研修のあり方・学び方を模索し、実装していかなくてはなりません。

利島村としては、島に来たい先生の確保に加え、来てくれた先生にとって、「教師が育つ利島」である必要があります。そのために、利島に赴任した先生に「利島でICTが使えるようになった」ということを実感してもらい、利島以外の学校へ異動したときにも、ICTの活用スキルを島に赴任した「お土産」として残していく必要があると考えています。
そしてこの取組は一過性のものではなく、長いスパンで考えたときに、利島以外の地域にもメリットがあります。利島でICT活用に自信をもった先生が利島以外の学校へ異動することで東京都全体としてICTを活用できる先生が増え、それによりICTを使える子どもたちが育っていく。さらにそれによって、巡り巡って日本全体がよくなっていく。そこを目指しています。

ICT活用スキルの底上げを実感

石田:教育長も実際にセミナー受講と資格取得に取り組んでくださいましたが、いかがでしたか?

弟子丸教育長:
Google でできることをある程度網羅的に知り、スキルとして持っておくことで、様々な場面でICTを活用する際に、億劫でなくなるというメリットがあるように感じました。
また、今回の調査結果によれば、今回の取組によって先生方全員のICT活用のモチベーションが向上したわけではありませんでしたが、自治体全体としてはICT活用の底上げにつながったと考えています。先生方が一から自分で勉強するのはハードルがすごく高いと思いますが「セミナーでインプットし、受験に向けた模擬テストでアウトプットを行う」その過程で知識やスキルが身に付いているので、費用対効果が高い取組だと思っています。

オンラインで認定資格取得支援セミナーを実施

2023年7月〜12月にかけて、Google 認定教育者レベル1・レベル2の資格取得支援セミナーを全4回に渡り開催。ストリートスマートの講師によるオンラインセミナーと受講後にお渡しした模擬テストで力を高め、資格取得に取り組んでいただきました。

資格取得に取り組まれた先生方の声

先生方からセミナーや資格取得の取り組みについての感想をいただきましたので、ご紹介します。
※ 受験後にご協力いただいたアンケートより抜粋

 

■ 知らなかった機能の使い方が分かったので、授業に活かしていきたい
生徒の「Chromebook™ でこういうことができないかな」という疑問等に答えられるようになりました。また、使えるアプリケーションの選択肢が大幅に増えました
■ 授業観察をする際、授業者が取り入れていること・児童が取り組んでいることについての理解度が高まった
■ Google カレンダー™ を活用できれば、職員の動静をより把握しやすくなりそうだと感じた。
■ Gmail™ や検索くらいしか使用していなかったため、その他のアプリケーションの活用について学ぶことができた。特に Google Jamboard™ は生徒同士の意見や考えを集約したり、全体に共有したりするときに大いに活用できた。

 

レベル1・2を合わせた合格率は85.7%!日々のICT活用との相乗効果で、さらに着実にICT活用の知識とスキルを身に付けていただくことができました。

ICT担当の先生より

利島中学校の教諭であり、ICT教育推進担当として今回の資格取得支援セミナーの開催等を主導で進めてくださった 諏訪 飛翔先生へ、学校現場から見たICT活用の状況や資格取得の効果についてインタビューをさせていただきました。

 

石田:諏訪先生から見た、利島小中学校のICT活用の現状を教えてください。

諏訪先生:
今年度は、ICT活用に関して飛躍的に進んだ1年でした。Google サイト™ を使った学校ホームページの作成からスタートし、週1回の輪番制で先生方が編集をしています。認定資格取得支援のセミナーは、この学校サイトの編集・更新においても非常に役立ちました
また、石田さん(ICT支援員)が中1の生徒に Google スプレッドシート™ についてのレクチャーをしてくださったことを、その後の研究授業でも活かすことができ、子どもたちの技能としても上がっていると感じます。普段の学習場面の中でも、子どもたちが自発的に Google のツールでファイルを作成して活動を進めるなど、日常使いができるようになってきています。

 

石田:諏訪先生は、学校でリーダーシップをもってICT活用を進めてくださっている印象なのですが、どのように学校全体を巻き込んでいるのでしょうか?

諏訪先生:
自治体によっては難しいと思うのですが、利島村は教育委員会との距離が近いので、校内での要望をスピーディーに進め、現場での活用に反映させることができます
今年度からICT担当になりましたが、小学校と中学校で考え方の違いや、先生方それぞれの意見をどこまで汲むのかなど、初めはなかなかうまくいかないこともありました。ある程度は自分の考えで押し切ったからこそ進んだ部分もあるし、そこのバランスは難しいなと思っています。

 

石田:今回の資格取得によって、ご自身のスキル向上は実感することができましたか?

諏訪先生:
生徒に質問されたときに回答できるスピードが早くなりました。普段校務で使うことが多いツールであれば「これやりたい」がすぐに実現できますが、「Google のアプリケーションだとどうやってできるのか」というイメージも明確にできるようになったので、すごく勉強になりました。
また、校内研究についてのやり取りを Google Chat™ で行うようになったり、Google Meet™ を使って会議をするようになったりと、セミナーを受けたことで、様々な場面での Google ツールの選択肢が増えましたね。学校全体での Google Classroom の更新頻度もすごく増えています。

今後のさらなるICT活用推進に向けて

今年度ICT支援の施策の一つとして「Google 認定教育者資格」の取得支援を組み込み、自治体をあげての資格取得に取り組まれた利島村様。先生方からは、授業から校務までICT活用の幅が広がったことで資格取得による効果を実感する声や、今後のさらなる活用に向けての意欲が感じられる感想を多くいただきました。一方で、今後の課題として、合格に至らなかった先生方のモチベーションが、やや下がってしまった様子も見受けられました。

今回の取り組みによる成果と課題を受け、「ICT活用に関する一層の底上げ」や「資格取得により身に付けた知識やスキルを日々の授業や校務に落とし込むためのアプローチ」が今後さらに必要であることを、弟子丸教育長とICT支援員の石田とで再確認しました。
このように、教育長やICT担当の先生と支援員が、自治体全体のICT活用をより前進させるために本音で語り合いながら共に進めていくことができるのは、ストリートスマートのICT支援、そして何より利島村様の教育への熱い思いがあってこそです。

「島の強みを活かした」ICT教育の促進と、先生方や子どもたちが自信をもって楽しく取り組めるICT活用を目指し、引き続き支援してまいります。

 

 

※ Google for Education、Chromebook、Google カレンダー、Gmail、Google Jamboard、Google サイト、Google スプレッドシート、Google Chat および Google Meet は、Google LLC の商標です。

 

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株式会社ストリートスマートは、教育分野と働き方の変革分野の2つのスペシャライゼーション認定を持つ Google Cloud パートナー企業です。

自治体や教育現場の皆さまが効率的かつ負担なくICT教育を推進できるよう、学びのDXから先生方の働き方改革につながる校務DXまで、ご状況・ご要望に合わせた最適な支援をご提案いたします。GIGAスクール運営支援センターICT支援員各種研修、先生のための総合プラットフォーム「master study」など、ICTの導入から活用推進まで、さまざまなアプローチで皆さまに寄り添った支援を行っております。

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