【ICT支援員】「先生の意識改革・ICT活用分析・管理職への個別支援」など、5つの施策で市内全体のICT活用強化を|東京都町田市全62校 2022年度上期支援レポート
株式会社ストリートスマート(以下、弊社)では、2019年度から東京都町田市へICT支援員の派遣を行っています。2020年1月、先行して町田市ICT教育推進モデル校3校の支援を始め、2020年4月より町田市の公立小中学校全62校へ拡充し、2022年度は支援4期目となりました。
本記事では、町田市全62校への2022年度上期(2022年4月~2022年9月)の支援レポートとして、ICTの「定着・活用」フェーズから「強化・発展」フェーズへと移行を目指している町田市様に対する、5つの施策(ICT活用状況の明確化、校長先生の校内リーダーシップなど)を軸とした支援内容をお届けいたします。
東京都町田市について
東京都町田市教育委員会では、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」に基づき、2017年度からICT環境整備に着手。ICTの効果的な活用方法や教育への効果を検証するなど、「教育で選ばれるまちだ」を目指し積極的にICT教育を推進しています。
町田市のICT活用は「定着・活用」から「強化・発展」フェーズを目指す
2021年度はICT活用の「定着・活用」フェーズとして3つの指針(ボトムアップ・オンライン化・共有と連携)を掲げ取り組んできました。
- ボトムアップ:ICT活用度の低い学校への訪問強化
- オンライン化:ヘルプデスクやMaster Learning*(町田市専用のポータルサイト)の設定
- 共有と連携:Google Chat™ で学校を超えた先生同士の情報共有の場の創出や先生同士でディスカッションできる研修の実施
これらの3指針に沿った支援により、町田市全域での「定着・活用」の推進を目指してきました。支援4期目となる2022年度の町田市の学校でのICT活用は、引き続き「定着・活用」を推進することに加え、「強化・発展」フェーズへのステップアップを目指しています。
*Master Learning:Google for Education™ の操作マニュアルをはじめ、活用方法や事例、最新のTopicsなどを掲載している町田市内の全教員用ポータルサイト
2021年度上期支援レポートはこちら
https://master-education.jp/column/ict_support_staff_dispatch_mchida_report3/
▲町田市のICT活用は「強化・発展」フェーズへとステップアップを目指しています
2022年度支援のポイントは、ひとりでも多くの先生への個別最適な支援
2022年度は、より各学校の現状に沿った支援をするため、先生とICT支援員の連携を最重視してコミュニケーションを密にとり、さらに効果的な支援ができるよう、5つの施策に沿った支援を行っています。
▲今年度の5つの支援方針
方針① 学習環境・利活用推進体制の充実
・明日の授業で活用できる教材テンプレートや授業指導案の提供
・先生が実際に活用された実践事例の共有
・隙間時間に学べる、Google Workspace for Education のショート動画教材の提供
・ヘルプデスク充実のため、問い合わせフォームや町田市全域の先生がいつでもアクセスできるチャットを再設計
▲動画や教材テンプレートの他、専用の問い合わせフォームやチャットスペースをご用意して対応
方針② 教員の意識醸成・改革
・各学校、各先生の状況や要望に合わせた訪問支援・オンライン支援を通して先生のICT活用への前向きな姿勢を醸成
▲学校単位以外の切り口でさまざまな先生にアプロ―チ
方針③ ICT活用状況の明確化
・ICT活用についての先生・児童生徒へのアンケート結果をベースに、ICT支援員が現場での活用状況も加味した活用度によるグループ分けの実施
・ICT活用状況の分析〜視覚化ができる Master Report for Education(仮称) を開発しており、町田市全体や各学校のICT活用を実データによる定量数値化し各校の課題感を明確に
方針④ 情報モラルの徹底
・「適切な使い方を児童生徒自らが選択できる力を養える」情報モラル研修の実施(先生・児童生徒向け)
▲情報モラル研修の概要
方針⑤ 校長先生の校内リーダーシップ
・校長先生への個別支援の一環として面談を実施し、管理職へのサポートを強化
上期は、5施策の中でも特に3施策に注力しました。弊社が設定した重点施策の3つ「②教員の意識醸成・改革」「③ICT活用状況の明確化」「⑤校長先生の校内リーダーシップ」について、以下で詳しく説明します。
重点施策 1:学校や先生のご要望に合わせた訪問・オンライン支援
「②教員の意識醸成・改革」施策のひとつとして、学校や先生のご要望に合わせた訪問支援・オンライン支援をこれまで以上に比重を置き実施いたしました。
2021年度から2022年度にかけて、学校だけではなく、各部会ごとでの支援など、先生を学校単位以外の切り口でグループ化することで、学校単位ではご支援を届けにくかった先生へのアプローチを試みました。上期は主に、小学校の「養護部会」、中学校の「視聴覚部会」でICTに関する研修や支援をさせていただきました。
2022年度上期の半年間で、小中学校62校に計約300回訪問し、授業サポートや授業準備のご支援、ICTに関するお困りごとの解決を通して先生に「ICTって便利」「使える」といったポジティブな気持ちを醸成していただきました。
▲訪問支援でICT授業をサポートするストリートスマートのICT支援員
重点施策 2:定量×定性データの分析で、ICT活用の課題を見つける
ICTの導入から活用フェーズへ移行すると、ICTが使われていることではなく「ICTをどのように活用できているか」が重要になります。先生と児童生徒がICTを使いこなすことでより良い学びにつなげることがICT活用の本来の目的ですが、それぞれの学校でICTがどれくらい活用されているのか、どのような効果的な活用を進めているか、それによって授業の質の変化にどのように影響を与えているのかなどを客観的にジャッジするのは難しいのが現状です。
そこで「③ICT活用状況の明確化」の施策として、ICTの活用度合いを定量化(数値化)し、課題や傾向、今後の指針を見つけることができる「Master Report for Education(仮称)」の開発を進めています。
Master Report for Education(仮称) を利用することでわかる定量的なデータに加え、訪問支援やアンケートをふまえ、どの授業でどのように使われているのかを支援員が把握することで、定性面も掛け合わせた活用の実態を明らかにする分析レポートを出すことができます。
そもそもGIGAスクール構想は、子どもたちの未来のための施策です。そのために、ICTの活用が本質的に良い活動になっているのか、子どもたちにとっても望ましい活用になっているのかを、定量と定性を組み合わせた数値化により課題を見つけ、正しい方向へと進めていけるよう、引き続き開発を進めていきます。
重点施策 3:校長先生へのはたらきかけで学校のICT推進を上層部から牽引
国立教育政策研究所による調査では、教育長や校長先生がアクティブラーニングなど新しい授業形態に積極的な場合はICT活用が進むことから、トップである管理職のリーダーシップの有無が学校や自治体のICT推進に直結していることがわかっています。
参照:教育新聞「学校のICT活用、進むかどうかは校長次第 国研が報告」(2021/2/16)
https://www.kyobun.co.jp/news/20210216_06/?fbclid=IwAR0pbTFw3YzyLIVjnUlDsPiHRTwOjBAoJRo8ENTsK2NYvydMKJ4kNheIPrM
そこで「⑤校長先生の校内リーダーシップ」施策として、直接各校の校長先生にはたらきかけ、面談を実施させていただくことで、学校全体の推進力を強めていく取り組みを行いました。
まずは活用度合いだけでなく、各校で苦労されていらっしゃる部分も把握して状況をマッピングし、各校の状況を可視化することからスタート。その上で、各校長先生ごとの教育理念や教職員の先生方の状況・課題(校内の体制、中心となる人材の不足など)をヒアリングさせていただき、これまで以上に各校に最適なICT支援を行えるよう校長先生との面談や、個別サポートを実施いたしました。
GIGAスクール構想によるICT活用の推進は現場の先生だけでなく校長先生にとっても初めてのことです。各学校の状況に合わせ、寄り添ったICT支援は、校長先生からも感謝の声をいただいています。以下、校長先生からストリートスマートの支援に対していただいたコメントを記載いたします。
金井中学校 仙北屋校長先生より
「学校としての目標は、ICTを活用したキャリア教育、英語教育、コミュニケーション能力の育成、アンガーマネジメントを掲げています。
ストリートスマートのICT支援は、先生のさまざまなニーズに対して、どの先生にも分かるよう、具体的に丁寧に応えてくれます。聞きやすい雰囲気もあり、質問や相談がとてもしやすいので助かっています。現在の課題を解消するだけではなく、今後の提案もしていただけるので、先まで見通し、今後はこういうこともできるかもという希望を与えてもらっています」
鶴間小学校 浦木校長先生より
「先日、Google サイト™ を活用した地区内の小学校同士での情報共有プラットフォームづくりをご支援いただきました。実現は難しいかなと思っていたのですが、要望したことについて、本当に細かく対応いただき、学校にも何度も足を運んでいただきました。非常に感謝しています。また、1日常駐して支援してもらえるのがありがたいです。
今後は、先生も児童も Chromebook を普通の文房具として活用し、自分なりの表現力、表現方法を探っていくような授業をしていきたいです。また、ICT授業は教室の中のコミュニケーションだけに留まらないところがメリットだと思うので、教室の外にもコミュニケーションを広げていく授業に取り組んでいきたいと思っています」
アンケート:ICT支援員への満足度は9割弱、下期はさらに支援の幅を広げていく
2022年度上期(2022年4月~2022年9月)のICT支援員に関して、町田市内の59校教職員1,081名の皆さまにお答えいただいた内容を抜粋してご紹介します。
まずは、2022年度上期の「ICT支援員派遣における満足度」について。提案型支援の実施により、活用イメージの増幅ができたとのコメントが多く、満足度は88.5%となりました。
昨年度上期のアンケート結果(63.9%)と比較しても、大幅に満足度が向上しました。訪問支援により、支援の認知度は高まり、支援内での対応をはじめ、先生に高く評価いただいている結果となりました。
「支援員派遣の効果」に関しても、前回のアンケート結果(67.2%)を上回る結果となりました。
効果を感じているというお声を多く頂いている一方で、支援内容が先生自身の活用になかなか結びつけられず、効果が思うように出なかったというご意見もあったため、今後は支援内容を実施まで生かせるよう、活用に向けたアフターフォローをさらに強化させていく所存です。
また全体としては、訪問支援に重きを置いた支援を行うことで満足度や効果は高まりましたが、オンライン支援の認知はまだ進んでいない状況です。オンライン支援では、課題に対してより早く解決策をご提案できるほか、高頻度の支援が可能となります。訪問支援と合わせて、下期に向けてオンライン支援の周知を強化し支援の幅を広げてまいります。
ICT支援員 石田より|先生方が自信をもって Chromebook を活用した授業を展開できるよう、サポートを続けていきます
町田市教育委員会様へのICT支援は今年度で4年目に入りました。文部科学省が表明した「GIGAスクール構想」の実現に向けて、町田市内での各学校様では、先生方が授業や校務で試行錯誤されながら活用を進めてくださっています。
私たち支援員は、各学校様、先生方が実現したいことのイメージを細かくヒアリングし、ともに施策を練り、実施できるまで徹底的に支援をしております。先生方が、支援をした内容を基に、自らアイデアを広げ、工夫をされて授業を実施しているご様子を拝見するときほど嬉しい瞬間はございません。
町田市教育委員会様では、Chromebook の活用において、先生方が自ら活用をさらに進めていただけるような「自立・自走」フェーズを目指しています。先生方が自信をもって Chromebook を活用した授業を展開できるよう、また、児童生徒が今まで以上に楽しく Chromebook を活用した学習に取り組めるよう、サポートを続けていきます。
各学校の「自走」をゴールに設定し、2022年度下期は引き続き「強化・発展」を目指す5施策を強化
上期は、ICT活用の「強化・発展」を目指すため、5つの方針を策定し、新たな支援を多数実施しております。下期も、町田市のICT活用がより強固なものになるよう、最終的には、各学校で自立・自走して活用を推進していける状態になることを目指し、引き続き支援してまいります。
※ Google Chat、Google for Education、Google サイト および Chromebook は、Google LLC の商標です。
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ICT教育推進やGIGAスクール構想に関するご相談はストリートスマートへ
株式会社ストリートスマートは、Education 分野と Work Transformation (働き方の変革)分野の Specialization 認定を持つ Google for Education Specialization パートナーです。
自治体や教育現場の皆さまが効率的かつ負担なくGIGAスクール構想やICT教育を推進できるよう、状況やご要望に合わせた最適な支援をご提供するGIGAスクール運営支援センターや学校常駐型のICT支援員、各種研修、先生のための総合プラットフォーム「master study」など、ICTの導入から活用推進まで、さまざまなアプローチで皆さまに寄り添った支援を行っております。
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