【ICT教育事例】苦手意識がある先生も「小中学校ワンチーム」でICT化を促進|伊豆諸島 利島村様

株式会社ストリートスマートは、GIGAスクール構想による教育ICT化の支援のひとつとして、ICT支援員を派遣しています。これまで、東京都町田市、伊豆諸島、神奈川県、長野県中川村など、自治体の規模や活用状況もさまざまな学校へ支援してまいりました。

 

実際に学校へ訪問し、二人三脚で支援しているからこそ見える学校現場のリアルがあります。今回は、ICTに対する後向きなスタートから一変して、小中併設校のワンチームとして積極的に活用を促進している伊豆諸島 利島村様の変化をご紹介します。

 

▼伊豆諸島 神津島村様の事例はこちら
人口約1,900名の離島でICTの活用が進む理由とは

 

利島村について

利島村について

東京から南へ約140kmに位置し、島全体が椿林に覆われた日本一の椿油の生産地。利島小中学校は小中併設校として9年間の学習計画をもとにした一貫教育を実施。都内でいちばん小さい面積をもつ、人口332名(2021年9月1日現在)の島。

 

Chromebook™ 配布から約一年。令和3年度のゴールは「全クラスでオンライン授業」の実施

弊社がICT支援員による支援を開始して約1年。

利島村様は現在、

  • 令和3年度のゴールは先生全員がオンライン授業をできるようになること
  • 小中併設校の強みを活かし、小中ワンチームとなり邁進中
  • 「ただ使うだけにならないように」という意識を持って活用
  • ICTが苦手な先生も一歩一歩着実に前に進む努力をされている
  • 年度の頭にロードマップを作成し、それに沿った取り組みや訪問・研修を実施

といった状況で、学校全体で活用を促進している様子が目に浮かぶのではないでしょうか。

 

そんな活用に邁進されている利島村様ですが、初めから特別ICTが得意で活用に前向きだったわけではありませんでした。

 

Chromebook って…?ほとんどの先生がICTの必要性に疑問符のある状態からスタート

弊社のICT支援員が初めて利島小中学校様とお話させていただいたのは、Chromebook を配布する以前の2021年1月。当時は、GIGAスクール構想による教育のICT化に対し、前向きな先生は少ない様子でした。

 

そんな中、ICT支援員が実際に学校へ訪問支援させていただいたのが2021年3月。Chromebook を同年4月以降に配布されるとのことで、先生方の準備期間として支援いたしました。

 

端末導入時は、いかにトラブルや混乱がないよう進められるかが重要なため、Chromebook を配布するタイミングや研修内容、段階的な進め方など、向こう1年間を見越したロードマップの設計からスケジュールの打ち合わせなどを実施しました。

 

また、Chromebook を配布する時には「開封イベント」として、あえて箱の状態で配り、子どもたち自ら開封して電源を入れて立ち上げてもらうことで、子どもたちにとっては“自分の Chromebook” を実感してもらえる時間に、先生方にとっては“ICT化のスタート”を意味する時間となりました。

 

「ある日突然使えるようにはならない」── 研修の言葉がきっかけに

ICTに対する考えや想いはそれぞれあれど、「1人1台環境への移行は重要な局面だ」と学校全体で認識されていました。そんな中、「毎日少ずつでも Chromebook に触れる時間を設けない限り、ある日突然使えるようにならない」という研修の言葉が心に響き、実践していくきっかけの一つになったそうです。

 

これまで蓄積してきたやり方の中に、突然新しいものを「使ってください」と言われても戸惑うのは当然です。しかし、今よりもさらにICT化が進んだ社会を生きる子どもたちのことを考えると、どこかで切り替えて活用に向き合う必要があります。

特にICTに関しては「使わないと使えるようにはならない」面が強くあり、そんなICTの特性を研修で実感していただけたようです。

 

また、学年・教科別の事例紹介や、個人の悩みや質問を解決していく個別研修を二日間にわたり実施したことが、活用に大きく前に踏み出すきっかけになったり、Chromebook を使う授業を楽しんでいる子どもたちの様子を見て「やってみたい!」とエンジンがかかったりと、気持ちの面でどんどん変化していきました。

 

小中併設校の強みを活かし、ワンチームで活用に邁進!

冒頭でもお伝えしたように、現在はほとんどの先生が活用に前向きで、各先生がさまざまな活用法を思案・実践しています。

ひとつの職員室に小中学校の先生全員がいるという強みを活かして、「みんなで子どもたちを育てていこう」と、活用方法を共有し合い、助け合いながら、ワンチームで邁進しています。

 

また、推進の軸となっている副校長先生や現場の先生方が、積極的に授業や校務での活用を考えられていることも、短期間で一気に活用が促進された背景にあります。

 

授業以外にも、ICTを活用することで校務の省力化が進んだばかりでなく、島内にある介護施設などとのオンライン交流が当たり前になるなど、学校の枠を越えた島全体での活用もされています。

 

苦手意識があったけれど、子どもたちのために頑張ろうと思えた

積極的にICTを活用している利島村様ですが、ICTに対して苦手意識をお持ちの先生ももちろんいます。そんな苦手意識を持つ先生が「苦手意識がありますが、子どもたちのために一歩ずつでも頑張ろうと思っています」とお伝えいただいたことが印象的でした。

 

他の自治体様も含めて、ICTに対する先生方の目の色が変わる瞬間にこれまでたくさん立ち合わせていただきましたが、その多くが「子どもたちが喜んでいる」「子どもたちに必要だ」と身をもって実感された時でした。先生方の根底にある子どもたちへの想いの深さや子どもたちのために尽力される様子を見て、私たちもより一層サポートを進化させたいと感じております。

 

今年度のゴール「全クラスオンライン授業」は、先生と子どもたちがワンチームになった日

2022年2月某日、この日は利島村様とICT支援員が支援開始当初から一緒に企画し、今年度のゴールとして設定した「全クラスでオンライン授業を実践する日」でした。これまで、訪問時の研修内容や支援の方向性などはゴールに向けたものを設定し進めてきました。

 

その成果を実践する日──5時間目を「全クラスオンライン授業」と設定し、子どもたちは給食を食べたあと家に帰り、打ち合わせ通りに Google Meet™ へ参加。小学1年生から中学3年生まで、全クラスで一斉に先生方がこの日のために準備した様々な授業が行われました。

▲一斉に行われたオンライン授業の様子(中学2年生は生徒0人のためクラス無し)

 

すべてのクラスで先生方の工夫された授業が展開されており、「オンラインでも授業ができる」と先生と子どもたち双方で体感できただけではなく、先生と子どもたちが一致団結しワンチームとなった、利島小中学校様にとってターニングポイントとなる日でした。

 

高校から全員が島を離れるからこそ、少しでも多くの学びを子どもたちに

活用が進むにつれて、「もっと発展した面白い使い方はないか?」と日々構想が進んでいる利島村様。

 

単学級でクラスの人数も少なく子どもたち一人ひとりの反応が見やすい環境だからこそ、積極的に実践し、どんな部分でつまづきやすく、どう伝えると良いのか、などをすぐに改善されるスピード感は、利島村様の非常に素晴らしいところです。

 

今年度のゴール「全クラスでのオンライン授業」はあくまで通過点。すでに来年度のゴールやテーマなどの構想を練っており、準備は始まっています。

 

高校から子どもたち全員が島を離れるため、来たる旅立ちの日まで“少しでも多くの学びを子どもたちに届けたい”と、強い想いを抱きながら日々教育へ取り組まれています。

利島村様のGIGAスクール構想は、今後さらに発展する予定です。

 

利島村様より|児童・生徒・教職員全員が自信と成果を感じた一年、次年度の「発展期」もさらなる充実につなげる

■利島村立利島小中学校 校長 髙橋健志 氏

「今年度、児童・生徒・教職員に、Chromebook が1人1台配布されました。当初は、どのように使っていくか悩んだものの、実際には、本校のGIGAスクール構想は、大きく進んだと自負しております。その大きな要因は、ICT教育推進担当教員の研修計画に基づく、ICT支援員による充実した研修の実施でした。

ICT支援員の複数回に及ぶ、児童・生徒・教職員向けの研修は、とても分かりやすく、楽しく学べるものでした。また Chromebook を活用した授業前後の打ち合わせや、教職員からの質問・要望には迅速に対応していただき、PCの技術面よりも心配していた、ICTへの心の壁・苦手意識を取り払っていただきました。

今年度のまとめとなった2月の全校一斉リモート授業では、Google Meet を通して単に授業を配信するのではなく、今までの研修等で学んだ新たなスキルを1つでも使って行うことを目標にしたことで、児童・生徒・教職員一人一人の自信につながる成果を得られたと感じています。実りの多かったこの1年間の成果を生かし、来年度はさらなる充実につなげてまいります。」

 

■利島村立利島中学校 ICT教育推進担当 木下武昭 教諭

「利島小中学校版GIGAスクール構想・ロードマップに則り、株式会社ストリートスマート・平川様に力強くご支援をいただいた一年でした。年度当初、初めて触れる Chromebook に悪戦苦闘した児童・生徒および教職員でしたが、今では、すべての人が Chromebook を自分の手足に近いレベルで扱えるように成長を遂げてきました。
特に、2月に実施した「全校一斉リモート授業」では、文房具のように Chromebook を扱う児童・生徒、そして、オリジナリティあふれる授業を実践する授業者たちの姿を見て、改めてこの一年の成果を大きく実感しています。
これも株式会社ストリートスマート・平川様のご支援なくして実現し得なかったことであり、ここまで全体をボトムアップしてくださったことに、言葉では言い尽くせないほど、感謝の気持ちでいっぱいです。
次年度は、本校が次のステージに進むための大切な「発展期」と位置付けております。変わらぬご支援を賜りますことを学校一同、切望しております。」

 

ICT支援員 平川より

「利島村様は、ワンチームとして小学校の副校長先生と中学校のICT担当の先生が中心となって推進されており、その火種が他の先生方にも着実に広がっています。

利島村様の数々の実践を見させていただきながら、新しいことを浸透させるためには、「先導する存在の重要性」と、魔法のようなワープはなく「一つずつ着実に解決していくことが近道」だということを、改めて実感させていただいております。

引き続き、利島村様の状況に即した支援と、自律自走を加速できるよう尽力する所存です。」

 

 

※Chromebook 及び Google Meet は、Google LLC の商標です。

 

 

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◆『これで解決!』シリーズ

ーGoogle Classroom

具体的な使い方vol.1 (クラス作成〜生徒招待〜課題配信)

具体的な使い方vol.2 (テスト付き課題配信〜採点〜成績管理)

具体的な使い方vol.3(生徒や保護者とのコミュニケーション)

具体的な使い方vol.4(Google カレンダーや Googleドライブとの連携)

ーGoogle フォーム

具体的な使い方vol.1(アンケート作成送信〜回答確認)

具体的な使い方vol.2(テスト作成〜自動採点〜解答確認)

ーGoogle Jamboard

具体的な使い方vol.1(Jam作成〜画像追加〜手書き〜付せん作成)

具体的な使い方vol.2(授業活用編:小学生理科)

 

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ICT教育推進やGIGAスクール構想に関するご相談はストリートスマートへ

株式会社ストリートスマートは、2017年に Google 認定の Google for Education Professional Development Partner(専門的能力開発パートナー企業:「PDパートナー」)に認定されました。そして、これまでの教育機関への総合的なICT導入支援実績が認められ、2020年に国内で初めて Transformation (変革)分野の Specialization 取得パートナーとして Google より認定されました。

自治体や教育現場の皆さまが効率的かつ負担なくGIGAスクール構想やICT教育を推進できるよう、学校常駐型のICT支援員各種研修など、ICTの導入から活用推進まで、さまざまなアプローチで皆さまに寄り添った支援を行っております。

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